アイル・ビー・バック

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 いったい何年振りだろうか。この校門も色づき始めたイチョウの木々も、生徒たちの熱気だって、以前とぜんぜん変わってない。天気も見事な秋晴れで、絶好の文化祭日和といえるだろう。前に来たときなんかはひどい目に遭ったものだ。  さて、そこらではメイドさんや魔女、各部活のユニフォームに身を包んだ生徒やよくわからない着ぐるみたちが競うように客引きをしている。うんうん。高校のイベント特有なカオスな雰囲気。どの生徒たちも一様にイマを楽しんでいるように見える。若者たちの輝きが眩しい。見ているこっちまで楽しい気持ちになってくるが、もう何年も前に高校生の身分を終えてしまった自分としては、すれ違うたびにメイドさんたちの渡してくるビラがそろそろ鬱陶しく感じてきている。  嵩張る荷物と一緒に校内を歩き続ける。もうけっこう見て回ったな。だいぶ疲れてきた。次はどこへ行こうか。入口で渡されたイベントマップを片手に次なる目的地を決める。上の階か。それじゃあ、と足を踏み出すがくるりとUターン。目の前に階段はあるのだが、この階段はちょっと嫌な思い出がある。廊下の反対にあるもう一つの階段を使おう。
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