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鉄平君のスマホが着信を知らせ、嬉しそうにこちらを見る。
「先輩来たみたい!
迎えに行って来るね。」
パタパタと更衣室から飛び出して行く背中に、喜びが溢れていた。
素直に気持ちを表現できる鉄平君が、羨ましかった。
パーティが始まれば、持ち場を離れる時間はないだろう。
何か腹に入れておこうと、事務所に向かい、用意されていたサンドウィッチに手を伸ばした。
先に食事を取っていた悠真は、「パンじゃ持たない」と、コンビニでおにぎりを買ってきていた。
八木さんも事務所に来ていて、部屋の隅でぼんやりとタバコを吸っている。…タバコ吸うんだ…初めて見るその姿は、妙に色っぽくて、目が離せなかった。
視線に気付いてこちらを見ると、長い指でタバコを揉み消した。
「すみません、タバコ、お嫌いでしたか?」
「いえ、大丈夫ですから、どうぞ。」
「マスタータバコ吸うんだね、知らなかった。」
悠真も知らなかったのか…
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