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「ミツくん、どうしたの?」
「薫さん、男装してる。」
「あぁ~!似合うよね!」
似合うどころじゃない。ノーメイクで、ヨレヨレのジャージ姿なら家で何度も見てるけど、正装してきっちり髪を結んだだけで、こんなにも変わるのか?
いや、変わらないのか?
女性よりも女性らしくて、この上なく美しい男性。
「素材がいいんだな…。」
呟いてフロアへと向かった。
時刻は11時で、皆で最終確認を済ませた。
料理を並べ、受付には薫さんと鉄平君が立つ。
彬君と圭さんは厨房に戻り、悠真は、新郎新婦を迎えに行った。
残ったフロアスタッフは、ウェルカムドリンクのシャンパンの準備をしている。
八木さんと俺は…
無言のままグラスを磨いていた。
開場は間もなくだ。
終わったら…パーティが終わったら…
八木さんに想いを伝えよう…
そう思っていた。
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