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平凡な生徒会長
彼女を一言で表すとすれば、それは『普通』だろう。
絶世の美女でもなければ学年一の秀才でもない。人脈が広いわけでもなければ、飛び抜けたカリスマ性があるわけでもない。
彼女は良くも悪くも普通で平凡。
それは自身でも自覚していた。
それどころか、だからこそ生徒会長になれたとも考えているのだ。
普通の彼女が努力するから応援できる。普通な彼女が放つ言葉だから好感が持てる。
事実、選挙の際彼女が掲げた公約は他の候補者より明らかに程度の低いものだった。
生徒会長を目指すような者が口にする、夢のような壮大なものではない。
そこに、信用と信頼を得たのだ。
そんな彼女が立案したからこそ、10年も前に行われた企画が蘇ることができたのだ。
「おはようございますみなさん。暑い日が続きますが、体調管理はしっかり行ってくださいね。
さて、文化祭まであと3日と迫りましたが、ここで生徒会から文化祭の追加イベントを発表いたします。」
ざわめき立つ朝礼の場。
眠い目をした大半の生徒たちもこれには耳を傾けずにはいられなかった。
「文化祭という人生の中で数少ない青春の場をより、思い出深いものにしてほしい。私もそうしたい。
そこで、10年前まで行われていた企画を、今年、再開したいと思います。」
一部には小さな歓喜
一部には疑問の声
「その名も“ラストステージ”
選ばれるのはたった1人だけ。それは最もこの学校で輝いていた人。
投票は先生方で行います。みなさん、選ばれるように頑張ってくださいね。」
全員の興味は完全にラストステージに持っていかれていた。
それをみて壇上で微笑む彼女の目論見は、誰も知らない。
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