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「幸、おはよう」
蓮は昨日のキスを思い出し、少し照れていた。
「蓮、おはよう」
「うん? 蓮??」
「え? あ、そう、れんれん、おはよう」
蓮は本当に驚いた。
れんれんと呼ぶのは幸と福だけの特権なのに、放棄したかと思ったから。
二人は朝の陽ざしを浴びながら並んで歩く。
「なんかね、朝方、福の夢を見たの」
幸はこうやって蓮に普通に福の話ができることを、少し不思議に感じていた。
「福の夢?」
「うん、なんか、小さな福が私の机の引き出しに何かをいれてた」
「何を?」
「分かんない」
「じゃ、今度、一緒に引き出しを見てみようか?」
蓮は幸の髪を引っ張りちょっかいを出して、幸を笑わせた。
幸はいつもの生活に戻ってきた。
いや、戻ってきた実感もないだろう。
それは福と神様しか知らないことだから…
幸…
今の幸は福がここにいた30日間を全く覚えていないけれど、でも、きっと、いつか、福の書いた手紙を開く時が必ずくる。
もし、その時が来たら、また福の存在を感じてほしい。
私の大切なお姉ちゃん、福は幸の中で生き続けてるよ…
だから、いつも笑顔で明るく楽しく過ごしてね…
福がいつも見守ってるから…
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