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《第一章 異世界転移》プロローグ
駅のある夜の街は煌びやかなネオンに彩られ、その街を凛々と照らす満月が明るく輝いていた。
改札を抜けた俺はネオンの光でチラついた目頭をつまんだあと、会社からの帰路につく。
マンション住まいの独身男性は多いことだろう。俺もその中のひとりであり、施錠された玄関の鍵穴に鍵を差し込んだ。
開かれた扉の先には"ただいま"を言う相手もおらず、月明かりが差し込み薄明かりに照らされていた。無言のまま玄関に入り、設置されている照明プレートを押して光を求めた。
「……」
くたびれたスーツを脱ぎ捨て風呂に入り、その後は食事を済ませ、壁に掛かっている丸時計に自然と視線が向かう。
時計の針はテレビのゴールデンタイムが終了する時間を指していた。
「今日もこんな時間か」
ここにきてようやく、プライベートな時間を堪能することができる。
「明日も早いし、二時間ぐらいにしておくか」
ふー、と一息ついたところで愛用のソファーに腰を沈め、リクライニングを傾けてからサブテーブルに置かれているVRギアに手を伸ばす。
ゆったりと沈むソファーにその身を預けながら、VAギアを装着した。
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