『さかしまサーカス』本文

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 悠土が図書室を出ると、廊下の向こうから姉が走ってくるのが見えた。 「こんな処にいた。もう、あちこち捜し回ったんだから」  ごめん、と、悠土は謝った。 「図書室で何をしてたの、」 「サーカスを観てた」  未希子は図書室の中を覗いた。 「何も無いじゃない。おかしなこと云って」  怒って悠土を振り向く。あれ、と、何かに気が附いて、悠土の額の中央を触る。 「ここ、どうしたの。こんな痣、あった?」  悠土は笑った。全身がむず痒くなった。 「千里眼だよ」 「え?」 「俺は千里眼の持ち主なんだ」  訝(いぶか)るように自分を見る姉に、何でもないと云って、悠土は歩きだす。ふとズボンのポケットを探ると、白い羽根が入っていた。まぎれもなく、天使の羽根だ。 【 終 】 * 最後までご覧下さりどうもありがとうございました *
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