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天使の歌声ってなんぞや
天使の歌声なんて本当にあるのだろうか。
その歌を聞くだけで傷や病が治るという天使の歌声。そんな非科学的な物が存在するのは二次元だけだと思っていた時代が私にもありました。どうやらここがその二次元らしい。
私は生前プレイしていた乙女ゲームのヒロインに転生したようだ。流行りの悪役令嬢じゃないのかよとツッこみたい。天使の歌声を持つヒロインな私は齢五歳にして数年後の自分にどんな未来が待っているかを悟った。
私が前世の記憶を思い出したのは五歳の時だ。
大好きな両親が盗賊に襲われて呆気なく死んだ。まだ前世の記憶がない私はただの五歳児。両親の死を受け入れられずに来る日も来る日も泣いていた。両親以外に身寄りもない私にはどうすることもできず未来は真っ暗で何も見えなかった。
独りぼっちになるくらいなら無理をしてでも両親に付いて行けばよかった。
近くの町まで仕事に行く両親を、見送り出迎えるのが私の仕事だと諭されたらそれ以上何も言えなくて「早く帰ってきてね」と手を振るしかなかったのだ。両親は仕事の際に私を近所に住むサムリーナおばさんに預ける。
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