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今まで寝た女とは、全てが違う。
その甘い声も、潤んだ瞳も、白く綺麗な肌も。
そして、一人の男を一途に想う純粋な心も。
彼女の何もかもを手に入れたいと本気で思った。
「……樹さん。俺、欲しいです」
「何、を……っ」
与える刺激に仰け反り、甘く喘ぐ彼女を見つめながら、聞こえないくらいの声で呟いた。
「あなたの、全てを」
ブレーキなら、この部屋に彼女を入れた瞬間から目の前に見えていた。
いつでも踏みとどまれると思っていた。
でも、俺は踏み外した。
見守るだけでいい。
ずっと好きだった人が、俺以外の男に恋をしても。
好きな人が幸せになるのなら、それでいい。
純のときは、心からそう思えたのに。
自分の手で誰かを幸せにしたいと思ったのは、人生で初めての経験だった。
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