世界中の誰よりも

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「樹さん。何考えてるんですか?」 「え?あ……ううん、何でもない」 「明日も明後日も会いたい……とか?」 「……っ」 霧島くんは簡単に私の心の内を読み取る。 よくわかりやすいとは言われるけれど、そんなに顔に出ているのだろうか。 「どうしてわかったの……?」 「別に樹さんの心の中を読んだわけじゃないですよ」 「え?」 「俺の気持ちです」 「……」 別れ際、寂しいのは私だけではない。 霧島くんも、同じ気持ちでいてくれている。 いつも私は、そんな大事なことを見失ってしまいそうになる。 「次は樹さんの番ですね」 「私の番?」 「来月、東京に来てください。うちの家族に紹介するんで」 「そっか……そうだよね……」 結婚するなら当然のことだ。 霧島くんのご家族には、私も一度挨拶したいと思っていた。 こんな私だけど、大丈夫だろうか。 自分に全く自信が持てない私は、霧島くんに相応しくないと思われないか心配になってしまう。
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