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そんな男が忌の際を迎え、最後のときも後僅かのように思えた。
先ほどの男性の言葉に娘が口を開いた。
「お父ちゃん、お母ちゃんには何も無いの?」
娘の言葉に男性は今まで娘のほうを見ていた視線を妻に移した。
「今まで食わせてやったんやから、文句はあらへんやろ」
「お父ちゃん」
男性の言葉に、娘が怒って席を立った。
「お母ちゃんがどれだけ我慢してきたと思ってんの? お母ちゃんの事、何やと思ってんの?
家政婦か何かと思ってんのとちゃうの?」
娘の剣幕に男性はふっと口角を上げて笑った。
娘は自分も馬鹿にされたような嫌な気分になった。
「もう知らんわ」
娘は怒って、病室を出て行った。
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