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【いち】 1度きり
毎日同じ時間の電車に乗って、階段を降りてエスカレーターを二つ登って、また改札を通って電車に乗って…
それの繰り返し。
朝は眠いし、学校まで遠いし、何よりいつもと同じでつまらない。
そんなある日。
いつものエスカレーターを登る時、目の前を学ランの高校生が横切った。
なんとなく振り返りその人を見ると、
とても、かっこよくて、ほんとに、私の時が止まったような気分だった。
しかし実際止まったのは私の足の方で、時間が止まったように感じたのはそのせいだった。
後ろの人が迷惑そうな顔をして追い抜いていったので、やっと我に返った。
なんで今まで気が付かなかったのだろう…
そうか、今日だけか。
今まで見たことがなかったので、きっと部活の遠征とか何かで来ただけなのだろうと思った。
そう思いつつ、1度きりのあの顔を思い出していた。
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