緊張

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緊張している次郎は未だに私の横で直立していた。 「お父さん!なにしてるの?こっちよこっち!」 部屋の外に顔を出したお母さんは、お父さんを呼ぶように手招きをしていた。 「次郎くんごめんなさいね。あの人緊張してるみたいで。」 笑顔のお母さんの後ろから、ようやく硬い表情をしたお父さんが入ってきた。 怒っているようにも見えるその表情に次郎の背筋がさらに伸びる。 次郎も感じていると思うけど、お父さんの表情が示すものは緊張ではないと思った。 「あの、僕は類沢次郎といいます。この度は色々とご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。」 90度といっても過言ではない角度で頭を下げた次郎をお父さんは静かにジッと見ていた。 「まぁまぁ次郎くん、そんなに固くならないで大丈夫よ。」 唯一柔らかい雰囲気の母が次郎の肩を優しく叩く。 少し安心したのか、次郎はゆっくりと顔を上げた。 未だに何も言葉を発しないお父さんは探るように次郎を見ている。 「もう、お父さんったら!そんな入口のところに立ってないで、こっち来て座ってちょうだい。次郎くんも……ね。」 お母さんの笑顔に促され、軽く頭の下げた次郎はお父さんとお母さんがベッドサイドの椅子に座ったのを確認して私の横の椅子に座った。 次郎がちゃんとしている状況に私が一番驚いていた。
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