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「よ、ようやく入口が見えたよ。というか、何でバス停からこんなに入口が離れているんだろう……わぁ」
そこでようやく入口に辿り着いた僕は、広い校庭の先に見える、大きな校舎を目にする。
レンガ作りの変わった校舎で、所々に彫像や彫刻が見てとれる。
今までいた高校は普通の白い建物で、こんな細かい芸術品の様な物は存在しなかった。
せいぜいあるのは二宮金次郎の像くらいのものだ。
さて、そんな僕は、まず学園長室に来るよう言われている。
そこでここで学校の先生をしている、叔父の真崎まさきが事前にここの学園の入口で待っていてくれるはずだったのだけれど、
「いない……待ち合わせの時間は、丁度今くらいだけれど、もしかして直接学園長室に行った方が良いのかな?」
そう思って僕が一歩、学園の敷地内に足を踏み入れたその時だった。
「うおおおおおおおおおおおお」
何処からともなく雄々しい雄たけびが聞こえた。
何事!?
と思って僕が周りを見回すと、右側の校舎の後ろから誰かが僕の目の前の校庭を突っ切っていく。
それは美形の男だった。
すっと通った鼻梁に瞳には深い知性が見てとれて、髪は陽の光を浴びて艶やかに輝いている。
何処かでモデ ルでもしていそうな長身の男。
少なくとも僕はこんな男性を、今まで見た事がなかった。
それほどまでに美男、ではあったのだけれど。
「どうして、全裸?」
一応、白い靴下と黒い靴を履いているから、全裸とは言えないけれど、そんな男が凍りついた僕の目の前を通り過ぎ……ようとして、くるりと僕の方を見た。
美形が無表情だと結構怖いんだなと僕は思って、びくっと震える。と、
「見たな」
「え?」
「俺の生肌を見たな!」
いえ、見せつけられたんですとこの時言い返すべきだったのかもしれない。
けれど、突然の出来事に僕は混乱して動けず、思考すらも出来なかった。
彼は僕に向かって指をさし、
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