6人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
史上最低な幕開け
その日は朝からツイてなかった。
アラームをいつの間にか止めてて、目が覚めたら家を出る30分前で。
急いで着替えたら、下ろし立てのパンスト2枚も破って無駄にして。
そんなこんなで、朝ごはんは食べられず。
それでも何とかいつもの時間に家を出て電車に乗ったら、真後ろのおじさんの息がクサくて死にそうで。
あぁもう朝から何なんだ!っていう。
そんなツイてない1日の始まりだけど
その分も明日は良い日になる。
そう思って、気持ちを切り替えた。
明日は、私 栗原未那(くりはら みな)の28回目の誕生日であり、彼氏の正野透(まさの とおる)と付き合って2年目となる、とても大切な日だ。
明日は土曜日。
この土曜日ばかりは、営業で多忙な透も仕事の予定を入れないでくれた。
ただ、今日は透にどうしても抜けられない夜接待があって、日付が変わる時に一緒にお祝い出来るか怪しい。
でも透は、「一番に直接おめでとうが言いたいから、何時になっても未那の家に行く」と言ってくれた。
そして、明日はずっと一緒に過ごそうって約束をしていた。
明日という日は
透と一緒に幸せを感じる
それはそれはステキな日になる
……はずだった。
あの電話がかかって来るまでは。
最初のコメントを投稿しよう!