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ピンチ。④
「あ…んっ…へ、変な事すんな!!」
「さっきから文句ばっか言ってるけどさ、センパイ、ホントは気持ちイイんでしょ…?」
「き、気持ちよくなんか……って蒼井、オマエ!!なんで俺のズボンのチャック、下ろそうとしてんだよ!?」
「………なんでって。センパイ、忘れたの…?アンタ、オレのオモチャになったんだから。だからオレが今から遊んであげる♪」
そう言って、俺を見つめて笑う蒼井の瞳が……。
小さな子供が欲しかったオモチャを手にして喜ぶ瞳に似ていて…。
その無邪気で蔑んだ笑顔に、また身体がゾクッと鳥肌が立った。
「おっ、俺をオモチャにしても面白くなんかないぞ!!」
キッと睨みながらも。
どうにか蒼井の興味を俺から反らそうと話をしながら頭の中で必死にシミュレーションしてみる。
が。
蒼井にはそんな俺の行動が見透かされているのか、俺の両手首を掴むとギュッと力を入れる。
「…ふふっ、センパイ必死だね。こんな右向いても左向いてもヤローしかいない男子校に閉じ込められて三年間、息詰まると思っていた所に…こんな楽しそうなオモチャを見つける事が出来るなんて。ホント、オレってラッキーかも……」
そう言って。
蒼井の唇が…舌が。
俺の首筋を這うように動く。
「んああぁ!!…んぅ…バカっ……もうホントにやめろ!!」
「やぁだ。だってセンパイが可愛い声で鳴くからさ。オレ、もっとセンパイのエロい声、聞きたいんだけど……いい?」
勝ち誇った顔で甘く囁く蒼井に。
さっきから俺の心臓がおかしなくらい、ドキドキしていて。
どうしたんだろう、俺…。
顔が熱くて鼓動が早くて…息苦しい…。
やだやだ。
俺、このまま…どうなっちゃうの…?
辱しめを受けながら…俺、死んじゃうの…!?
「~~~と、年下のくせに…!!変なコトばっか言ってんじゃねぇよ、この変態ヤロー!!」
恥ずかしさのあまり、蒼井の顔を直視できない俺は視線をずらしたくて。
文句を言いながら体をモゾモゾと動かす。
…くそっ。
体が全然動かない…。
焦って必死にバタバタと体を動かす俺の様子を興味深そうにじっと見つめる蒼井の視線が。
痛いほど、ひしひしと頭上に感じる。
……さっきから体を動かしているのに。
組み敷かれたままの身体は蒼井に押さえつけられたまま、指すらピクリとも動かせられない。
同じ男に…しかも年下に組み敷かれて。
生徒会長のこの俺が何もできないなんて…。
今までにない、この屈辱的な状況に。
頭がついていけない。
「……センパイってさ、もしかして…童貞?さっきから身体に触れる度に反応してるし、体も震えちゃっててさ。なんか可愛いんだけど…(笑)」
「ッッ~~うるさい!!男に可愛いって言うな!!そこ、どけっ!!」
「ハハハ♪センパイ、大丈夫?さっきからスゲェ顔が真っ赤だよ~?そんな反応するって事はやっぱ、童貞なんだね…。でもさ、センパイ安心してよ。これから先もずっと。センパイは童貞だからさ★」
ニコッと笑う蒼井に俺の声は届かない。
思わず口をキュッと締めた。
……さっきから童貞、童貞って、バカにしやがって…。
悪かったな!!
俺はお前みたいに女の子にモテた事がねぇんだよっ。
悪いのかよ!!
凡人はなぁ、お前みたいに最初からスペックが高くないから。
努力していかなきゃ…女の子には見向きもされないんだっつーの!!
くそっ。
すげー腹立つ…!!
ずっとニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる蒼井にイラッとした俺は、負けじと俺の身体を押さえつける蒼井を見上げてキッと睨みつけた。
「さっきから何、変なコトばっか言ってるワケ?蒼井、お前って…バカなの?」
ワケ分からない事を口走る蒼井に組み敷かれたままの俺は悪態をつくと。
ニヤニヤ笑っていた蒼井の表情が急に曇り、眉をしかめた。
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