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ピンチ。⑤
「なにそれ……オレのオモチャのくせに。ホント、生意気。……可愛くないんだけど…」
ムスッとした表情を浮かべながら。
蒼井の怒気を含んだ低い声が耳にかかって。
俺の身体は恐怖でビクッと体が強張る。
「ひっ…!?」
急に蒼井の指が俺の首筋をなぞったせいか、身体が無意識に反応してゾクゾクとまた、鳥肌が立つ。
「………ちょっと軽く遊んであげよう、って思ったのに……センパイ、オモチャの分際で生意気だからさ。誰がご主人様か、身体で教えてあげる。」
そう言うと。
蒼井は無表情な顔をしたまま、ジッと俺を見つめてきた。
何。
何なの……コイツ。
目が据わっててヤバイ…。
なんか……怖い…っ。
爽やかな外見と明るい性格のイメージとは真逆の…感情の色もない、冷たい瞳で睨みながら。蒼井が俺に覆い被さってくる。
さっきまでの柔らかい雰囲気が、今ではピリピリして。
この緊迫した雰囲気に呑まれた俺は、思わずゴクンと息を飲み込んだ。
「……ねぇ、センパイ。センパイの初めて…オレが全部貰うね…」
フフッと笑いながら、小さく囁くと。
蒼井は俺の唇に唇を重ねてくる。
そして強引に舌をねじ込みながら一気に口の中を蹂躙していく。
「あ…いや、…やっだ…あっ…あ…あッ!!」
蒼井の舌が俺の口内で蠢きながら舌を絡めて、クチュクチュと淫らな音を立てて。
その淫らな音が俺の耳に聞こえてくる。
「う…っ、はぁ…ッ………」
蒼井の舌が動く度に呼吸を乱されて。
俺の口から甘い声と吐息だけが漏れていく。
そして脳が徐々に溶かされていくような、緩い快楽の波に。
初めての感覚に…。
頭の中がだんだんボーっとしてきた。
自分の身体なのに…。
なんで…。
理性をコントロールできないんだよ…。
…俺、男に、蒼井にキスされて。
なんで…
こんなに感じてる……?
朦朧としながら、わずかに残る羞恥心や理性が飛びそうになる恐怖を追い払おうと、必死に両手に力を込めて蒼井に抵抗する。
そんな必死に抵抗する俺の姿に蒼井は満足そうに瞳で笑いながら、俺の両手を片手で軽々と拘束すると。
空いた手で俺の制服のシャツの中へ。
指を滑り込ませていく。
「ひゃあん…っ!」
蒼井の指先が胸の飾りをかすって。
その強い刺激に、思わず涙が溢れてきた。
イヤ。
イヤ……。
怖い……怖い怖い……ッッ。
身体が自分の身体じゃないみたいに熱くて。
深いキスの合間に漏れる吐息も声も甘くて…。
身体が蒼井の指に素直に反応して……。
自分ではなくなってしまう感覚に、思わず生理的に涙を流してしまった。
蒼井はそんな俺を見て機嫌が良くなったのか、今度は俺のズボンのベルトを器用に、空いたもう片方の手でほどいていく。
「ぁ!!も、やだ…離して!!」
浮かされた熱に呑まれないように抵抗するも…。
身体が…蒼井が触れた場所が、さっきからゾクゾクして快感が止まらない。
男のくせに、エロゲーの女の子みたいに素直に感じている自分が恥ずかしくて……。
プライドの高い俺はそれがショックで…悔しくて涙がポロポロとこぼれ落ちてく。
「センパイ、泣かないで…。泣いているセンパイ見てると…オレ、興奮して…。もっと泣かしたくなっちゃうよ」
「……………」
蒼井の言葉に驚いて。
思わず、目を見開いた。
………コイツ。
やっぱり思った通り、ヤバイ奴だ…(泣)
頭の中がイっちゃってるし、裏表がありすぎて、俺の理解の許容範囲を明らかに越えている。
もう無理。
コイツのそばにいたくない…。
………早くこの場から離れたい。
じゃないと俺…。
どうにかなってしまいそうで…。
だけどこの状況を変えるアイディアが何一つ、浮ばない。
今までなら。
刃向かってくるヤツは生徒会長という立場や権力で相手を捩じ伏せてきた。
だけどコイツはズケズケと俺のテリトリーに無作法に入りこんできて…そして俺の弱味につけこんで、ゆすってきた。
こんな変な奴、相手にした事がなくて対処しきれない…。
どうしたら…
ここから離れられるんだろう……。
この危機的状況の中、抵抗しても腕力では蒼井の方が上で。
抑えつけられてる俺が出来る事はなく。
…蒼井の気が変わるのを待つしかなくて。
目の前で覆い被さっている蒼井を涙目で見つめた。
……何も出来ない自分が情けなくて。
恥ずかしさと悔しさだけが胸に広がっていく。
すると蒼井の手が。
優しく俺の頬を撫でる。
「!?」
急に優しく触れてくる蒼井の行動に。
俺は戸惑って言葉が出てこない。
コイツ…
一体、何を考えてる?
掴み所がない蒼井の行動一つ一つに振り回されて。
すでに冷静ではない俺は目の前にいる蒼井の事でいっぱいになる。
そんな戸惑う俺の様子が面白いのか、蒼井はクスッと笑い、小さく耳元で囁いた。
「センパイ…さっきからオレをジッと見てるけど、オレに惚れちゃった…?」
「ばっ、バカやろ!!そんなワケない!!///」
「そうかな?…でも、センパイの身体はオレに触られて喜んでるよ。ほら…今だって。エロい顔してオレを誘ってるし…。ねぇ、センパイはどうしたい…?このまま意地を張って抵抗し続けるか、それとも……」
そう言いかけて、蒼井の手がズボンの中へ侵入し。
すでに濡れていたそこを。
握りながらゆっくり動かしていく。
「……優しくされて、イキたい?」
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