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「お前の持ってた、トラックにあったやつだな?アレは戦時中の使い回しよ!なんであんな古いのを買ったのかねぇ」
「無線機高かったんだよ!たまたま中古で安いと思ったんだよ!」
「まぁ、今持ってたら、年代物だ!お前捨てて来たのか…」
「もう使わないし…」
全てが繋がった。
あの男は兵隊で、父の買った無線機に憑いて居たのだろう。
無線機を持っているということは、それなりの役目のある方だったのだろうか?
「無線機がどうかしたのか?」
「いや……なんでもない」
少なくとも、分かっていることがある。
彼は顔も服も泥やススだらけで、そして水が飲めず、渇いた状態で亡くなったと言う事。
私は席を外し、そっと心の中で手を合わせた。
その後、二度と男が現れることは無かった。
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