新聞配達の怪異

5/9
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 それで、ハッと我に返った。 “あぁ、あの白いモヤは、あのおじいちゃんの足だったのか?”  そう思った途端、僕から恐怖は一気に消え去って、落ち着いた。  むしろ、“なぁんだ、おじいちゃんか”くらいな感じになったね。  その日から、その白いモヤは毎朝表れるものの、別に何もする訳でもないので、僕は相変わらず、“おじいちゃん、今日もいるなぁ”くらいにしか思っていなかったんだけどさ。  その白いモヤ。  初めは気付かなかったけど、徐々に、少しづつ、形を成していくんだ。  徐々に徐々に……そう……『足』のような形に。  それとは反比例するかのように、僕の足は、妙に怠く、重く、時には痺れるようになっていった。  病院に行っても、原因不明。  正直、仮病を疑われるくらい、全く異常なし。  それでも、徐々に痛みも出て来て、新聞配達をするのも苦痛になってきていた。  僕は、あの白いモヤが足のような形になってきた事と、自分の足の異変が関係しているとしか思えず “一体どうして?” “なんで?” “あのおじいちゃんに足はあったじゃないか!” と、恐怖心より、怒りが増してきた。  それで僕は、非常識と分っていながら、学校帰りに、おじいちゃんのいた家に寄る事にした。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!