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そんな毎日が一年半以上続いた頃だっけ。
僕が高校三年に上がる直前の頃。
もうすぐ受験シーズンだっていうのに、未だに新聞配達を続けていたんだけど、ある日、初めて、おじいちゃんが立っていなくて。
しかも、家には人の気配が一切しない。
そりゃぁ、“そんな明け方だから、住民も皆、寝静まっているだろう?”と言われればそうなんだけど、何故か妙な胸騒ぎがしたんだ。
その日から、毎日、おじいちゃんを見かける事は無くなって。
「あぁ。おじいちゃん、もしかしたら……」って思うようになってきた頃から、その場所で妙な事が起こるようになったんだよ。
毎朝、そのおじいちゃんの家に行くと、必ずスーッと門が開くの。
「え?」と思って、新聞を郵便受けに入れると、これまたスーッと閉じるの。
まさに、自動ドアみたいに。
これはもしかしたら、おじいちゃんが幽霊になっても、僕の事を待っていてくれているんだと思ってねぇ。
不思議と怖く無かったんだよね。
むしろ、あれだけ良くしてくれたおじいちゃんが、亡くなってからも僕の配る新聞を待っていてくれているかと思うと、なんか嬉しくて。
本当はそろそろ辞めようと思っていたバイトだったけど、もう少し続けようって思ったんだ。
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