第6章 マドンナ達のララバイ 秋

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その晩は 菜々子は女友達と飲んで まだ小さい子供がいる友人のため 早くにお開きにし 同じような状況で 飲んだ帰り道だった崇司と 乗り換え駅で偶然一緒になり 飲み足りなかった2人は 崇司の誘いで 一軒、寄ることになったのだった。 ********** 「んーー、どっこにしようかな」 そう言いながら 崇司は陽気に歩いている。 一切リードをしない菜々子は 優柔不断な男は嫌いで (やっぱ止しとけばよかったかな) と思ってたら 崇司はスタスタと やや老朽化した 飲み屋ビルに入っていく。 エレべータから降りた店は ビルの外見とは場違いな 趣味の良い、 和風造りの小料理屋だった。 奥座敷に通され 薄い暖簾を降ろされ 向かい合わせに座る。 安っぽいカフェバーを 想像していた菜々子はホッとした。 奈々子は一人の時以外 カウンター席は好きではない。 崇司は 菜々子に確認もせず 大吟醸の冷やを注文し 菜々子に注ぐ。 「クックックッ」 のちにそれが癖とわかる笑い方で 崇司は朗らかに叫んだ。 「なーんで俺、   今、柏木さんと乾杯してるのかな!」 明るいなあ。。 菜々子もつい笑った。
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