王様のねこ

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「っくし!あぁぁ、ウォリック、大丈夫なんだな?!すまない!いや、謝罪だけでは詫びの仕様もない!王は形だけだと噂と留学時代聞いてはいたさ。だがお飾りの王族だなんて誰が信じる。各国王制覇権を疑う訳がない。飾りとて王さえ居なければこの小国家は混乱っくっしゅ、転覆、介入し放題だと皆思うだろ。俺は大国に四方囲まれいつまでも安泰な小国が、ウォリックが王になっても変わらない国が気になって視察したいと、」 「暗殺はなくとも国の吸収下見ってか?毎度どこの国も暇と無駄な経費をかけるもんだなあ」  ルードの横槍は図星だったのかマルクは沈黙した。身体を起こし改めて玉座というただの椅子に腰掛けたウォリックは、膝の上にジオを置き優しく撫でながら追い討ちをかけるように問う。フスフスと鼻息が荒いネコに苦笑してからマルクへと視線を投げた。 「また知らぬ存ぜぬで握り潰し使い捨てされるだろな、さあどうする末の王子」 「……投獄でもいい。少し考えさせてくないか」 「……そうか、ルード任せる」 「ったく、王子さんよ、行くぞ」  ルードに促されマルクは部屋を後にした。これで会議室に残るは王様とネコ。部屋の前にはルードの部下が警護に戻ってはいる。まだ興奮しているのかフスフスと鼻息の聴こえる膝のジオを見てクスリと笑った。 「ジオ?」 「!」  事の全容が理解出来ないジオは混乱していた。王様に不意に小脇を持ちあげられ、視線が合ったことにブワワッと全身の毛が逆立ちネコキックを繰り出す。 「お、おおっ?」 後脚の高速キックにウォリックは滅多にしない行動に思わずジオを放した。 「意味がわかんないのーっ!!」     
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