1 クラスの出し物

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1 クラスの出し物

 フリーターの多島くんと、女子高生の由希乃は、商店街でバイトをしている年の差カップルである。現在交際歴は三ヶ月。  多島くんは、資格試験の勉強の傍ら叔父の経営する弁当屋で、由希乃はそのお向かいにある本屋で毎日バイトをしている。  由希乃はバイトが終わったあと、商店街のコンビニのイートインで多島くんとプチデートをするのが日課だった。      ☆ 「どうしよう……クラスの出し物、メイド喫茶になっちゃったよお……」  一年A組の橘由希乃は、真っ青になっていた。  つい数分前、HRで文化祭の催し物が決まったばかりだった。 「せっっっっかく、多島さんを呼んで、ラブラブ文化祭を堪能しようと思ってたのにぃ!! メ、メイド服姿なんて見せられないよおっ!!」  彼女の甘い目論見――最近つき合い始めたばかりのイケメン年上彼氏、バイト先の本屋のお向かいのお弁当屋でバイトしてる、多島くんとの文化祭デート計画は、木っ端微塵になってしまった。 「ヤバい。ものすごくヤバい。彼から文化祭の存在を隠しとおさなければ……」  多島くんにメイド姿を見られるなんて、恥ずかしすぎて冗談じゃない。絶対に彼が文化祭に来るのは阻止しなければ。そう強く念じて、由希乃は一目散に自宅へ帰った。
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