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 会社の同僚と酒を飲み交わしていたときに、妙な告白をされた。 「俺さぁ、手が見えるんだよねぇ」 「手?」 「コインロッカーあんじゃん。あそこからさぁ、手が出てるんだよ」  急に何を言い出すんだと、少々戸惑った。どうせ酔いの戯言だろうと思ったが、なんとなく面白そうなので、続きを聞いてみることにした。  で、整理すると、彼には不思議な力があって、コインロッカーから出ている人の手が見えるらしい。幼い頃から見えるのだそうだ。  その手は誰かが借りているコインロッカーからしか出ないらしく、それぞれに個性があり、老若男女、細いのや太いの、指輪をしていたり、傷があったり、タトゥがあったりと様々らしい。  彼が借りても手は出るらしく、やはり自分にそっくりだったそうだ。  察するに、その手はコインロッカーを借りている人の念や想いのようなものが具現化したものじゃないだろうか。  そうじゃないかとたずねてみたところ、彼は否定も肯定もせず、小首を傾げた。 「その手を見るとさ、どんな奴が借りてるのか大体わかるんだよ。でもさぁ、時々どうしてもわからないのがあるんだよなぁ……」 「へぇ、どんなの?」     
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