結末から始まる物語

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* あこがれの白バイ警ら隊に入隊して、まもなくのこと。 宙王(ひろお)は高速をおり、なつかしい道へ入った。 このあたりは、まだ自分が交通課の巡査だったころに担当していた地区だ。 広い市道と、細い旧道が、ゴミゴミ入りまじる、見通しの悪い道。 昔は化け物の名所だったとも言われる、うらさびしいあたり。 見通しが悪いがゆえに事故も多い。 以前は、ここで、よく点数をかせがせてもらった。 宙王には白バイ隊員になるという夢があった。評価は、つねに高くなければならなかった。 同僚たちは、よく言ったものだ。 「さっきのは大目に見てやってもよかったんじゃないか? 見てたけど。ちゃんと停まってたぞ」 「甘い。甘い。いいんだよ。あれぐらい厳しくしてやらないと、やつらはわかんないんだからな」 「あんまり、やりすぎるなよ。恨み買うぞ」 「肝に命じとくよ」 笑って、とりあわなかった。 自分たちだって、違反とは言いきれないようなドライバーにも、よく違反キップを切っている。 ボーナスの査定にかかわるからだ。自分たちの小遣いのために庶民の金をむしりとっているのだ。 どっちが身勝手なんだか。 宙王のは、もっと志が高いのだ。     
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