∵第1話 恋という名の種を拾いました。

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そもそも何故課長がこの車両に…。 居たなら初めから声を掛けてくれれば良かったのに。 改めてだと緊張するではないか。 「高橋さんは何処で降りるの?」 心の中で悪態ついていると、課長が話しかけてきた。 課長こそ何処で降りるんだ。 いつまで続く、この緊張感。 「桜木町です。課長は?」 漸く課長の目を見て話す。 顔を上げると疲れを感じさせない綺麗な笑みがそこにはあった。 「川中。桜木町の一つ先だからお隣さんだね」 「近い…全然気付きませんでした」 「私も。まさか高橋さんが同じ沿線に乗ってるなんてね。朝は何時発?」 話が弾んでか、いつの間にかプライベートな話にまで盛り上がる。
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