そういうことなのね(諦念)

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そういうことなのね(諦念)

山岡くんは10連サイコロの結果を信じられませんでした。最早バグのような何か、表はグチャグチャ、出た結果も意味不明。全てはわたしの言葉なのに。 その上、サイコロを振ってもヒロインが現れない。 いいえ、現れてます。見てますもん。 いや、そんなこと考えられない状況になってしまったのです。王都を襲撃した魔物の大群、光り輝くラケットを持っていたせいで戦いに連行される山岡くん。 しかし、彼は大活躍をしたのです。 何でかって? 光に弱い闇の魔物だけで構成された軍勢、なおかつ全て麻痺に弱い。こんな『偶然』すごいじゃないですか。 そして魔物の大群を退けた功績によって英雄になった山岡くん。王都で褒賞を受け取り、そのまま戦いの腕を見込まれそのまま魔物との戦いへと駆り出されます。 凄いんですよ、彼の活躍は。 だって、相対する魔物は全て『偶然にも』闇の魔物で麻痺に弱いんです。運がいいですね。 そのまま快進撃を続ける山岡くん。時期に彼は気付くのです、この魔物騒動の大元は魔物を統べる王がいることに。 魔王とでも言いましょうか。山岡くんもヒロインが一向に現れない現状を気に掛けながらも、魔王討伐へと歩みを進めるのです。 「そして遂に山岡くんは、魔王の元へと辿り着いたのです。ここまでの道のりで振ったサイコロは236回、そしてわたしが手助けした回数は……」 「分かる、ンなの236回って言うんだろ! 俺は遊ばれてたって訳だ!」 「違いますよぉ。山岡くんを森へ運んだあの最初のサイコロ、アレを振ったのはわたしじゃないです。だから235回」 わたしは言葉を続ける。 「山岡くんには獣人の奴隷なんて必要ないですし、魔剣なんて要らないですよね。だってサイコロ10連のヒロインはわたしなんですから」 「ふざけんじゃねぇよ、俺はお前なんか求めちゃいない!!」 「でもサイコロは振った、何が出るか分からないサイコロを振った。つまりこうなることも予想出来ていた……そうですよね?」 「舐めんな……舐めんなァ!」 そう叫び山岡くんはラケットを構える。カッコいい姿、一生見ていたい。 でも忘れちゃったんですか? わたしはあなたが振ったサイコロのお陰で、神の使徒で最強なんですよ。 わたしの手の上で。 あなたはわたしを強くして。 わたしはあなたを手に入れる。 ふふふ。
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