蝉の声

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 夏鳴と三鎌は立ち続けたまま、困った顔をしていた。  二人がカラオケに行くか気になる俺は、取り敢えず二人の元へ。 「夏鳴と三鎌はどうする?」 「いやーあたし、歌える曲ないしなー」  あははと笑いながら後頭部を掻く三鎌。 「わ、私も、歌はちょっと……」  目を泳がせながら、腰元で手を組む夏鳴。  んーこの様子だと、二次会は行かない感じかなー。  残念ではあるけれども、打ち上げを一緒にやれただけでもいっかな。 「じゃあ、俺もーー」 「そこの三人さん、なーにしてんの?」  俺も行かないと言おうとした時、後ろから声をかけられる。  振り返ると、クラスメイトの桑野(くわの) 狭真(はざま)が片手を軽く挙げながら歩いてきた。
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