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「真凛(まりん)、死ぬなら23歳までにしなさい。病気じゃ駄目だ。健康な状態から一気に死ぬのが理想だ」
いつも父から言いつけられている教えだ。
この言葉以外のことを父から言われたことはない。
私は父に食べられるために生まれた。
生きる意味を与えられている私は他の人たちよりも幸せだと実感している。
だから、美味しい食材になるために、病気にならないように健康には気をつかった。
もし風邪をひいても、肉質を保つために薬を飲まないようにした。
脂肪と肉との割合をベストに保つために、運動量が激しすぎる部活を避けた。
サークル感覚で気楽にできて、でも筋トレとかたまにある部活。
軟式テニス部を選んだ。
私の高校は部活に熱心な学校ではないから丁度良かった。
でも食材として最高の状態になるために日々努力しているけど、1つだけ食材としてはよくないことを望んだことがあった。
それは私も人を好んで食べること。
私自身食材として生きているからこそ、人はどんな味がするのか、そして死んだあとの私はどうやって解体され、食べられていくのか知りたかったから。
中学の頃、私自身が食材になることに専念することと、それを誇るために心の底から湧き出る衝動が矛盾していることに気付き、悩んだものだ。
この飽くなき衝動をどうすることができず、その当時、悩んだ末に恐る恐る父に相談してみた。
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