第3章 死神の少女

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第3章 死神の少女

「これはひどい!」 村を出て最初に辿り着いた街。 ゲシュタルト。 街を見て最初に発した言葉。 街はひび割れた硬い土と今にも崩れそうな民家が立ち並びほぼ風化している。 そこで人々は生きる気力を無くした様に座り込み、もはや廃墟同然と化していた。 「こいつぁー。 どう言う事だ?」 「んー。 昔来た時はこんな感じでは無かったのですがねー。」 (あっ!あそこに人が!) 「行ってみよーよ!」 僕は、みんなと共にぐったりと横たわる少女に駆け寄った。 「大丈夫か!? しっかり!!」 「う……水…… オレンジジュースなら……なお可……」 緑がかった長い髪、服装から判断するにプリーストの様な、看護婦の様な? 女神様の衣装の様な? たとえ難い服装。 しいて特徴をあげるなら、袖が異常に長い。 思わずカオスか?とも思ってしまったが、カオスは幼女。 こんな立派なお胸などついてはいない。 明らかに別人だろう。 歳から見ても、僕に近い年齢と思える。 だが瀕死にも見える状況で、オレンジジュースを所望するあたり、どうも引っかかった。 「お…オレンジジュースはないけど、水なら!」 僕は、少女の口に水筒を向ける。 すると僕の手から水筒を奪い去り、必死に飲み始めた。 「あっ!あぁ…っ!」 「ぷはぁー! 助かったぁー。生き返りましたわー!」 「ちょっ!?僕の!!?」 水筒の中身を一滴残らず飲み干し、空の水筒はそこらにぽい。 見かけと違い、ガサツな人らしい。 これ以上関わったら大変なことになる。
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