人形

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人形

 朝、目が覚めるとゴミ捨て場にいた。前夜、酔っぱらってゴミ捨て場で寝ていたというわけでは無い。  正確に言うと、ゴミ捨て場に捨てられている人形になっていたのである。  小さい子供用であろうか、飯事(ままごと)用の赤ん坊のような見た目の人形で、着ている服も髪もそれなりにボロボロである。斜め向かいに捨てられている同じ人形用であろうオモチャの鏡台がそれを如実に語っている。  さて、映画やらドラマやらで中身が入れ代わって、というような話はよく聞くし、見たこともある。大抵の演者は慌てふためきパニックを起こしているが、過剰演出ではないかと常々思っていた。  そんなには慌てないだろう。  実際自分は慌てていない。古来より、長く親しみをもって接した人形には魂が宿るという。 俺の?  いや、見ず知らずの人形に何で俺の魂が宿る必要があるのか。いやいや、確かに無の状態から魂が発生して人形に宿るのには違和感あるけど、だからと言ってもともと宿っている魂が乗り換えるとは微塵も思わなかったわけで、そもそも何で俺?と、ちょっとパニック。  しかし困った。これからどうすれば元に戻れるのかと考えた矢先、脳裏に一筋の光が射した。     
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