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「居眠りする奴にはこのコヨリを鼻に突っ込め」私に父は命じた。私はそんないたずらを考える父を愛嬌あると思って好きだった。
しばらくは、みんな勉強していたがリノが居眠りを始めた。私は嬉しくなって、笑いたいのを必死でこらえて、コヨリをリノの鼻に突っ込んだ。
「クシャン」リノは目を覚まそうともがいて、なんとか勉強を再開した。父はユーモアが好きで、生活に潤いを与えた。
父は長身でやせ型だったが剣道とテニスで鍛えた体は筋肉質であった。師範学校を出て先生になり校長として長崎市周辺を転勤して回っていた。
姉三人の下に男として生まれた私は特別可愛がってもらった。弟は八歳下にうまれたので、損をすることになった。
母は「私ゃお父さんが床の間に飾っとくけん嫁に来てって土下座されたけん・嫁にきてやったとさ」とうそぶいていた。
母にもいい所があり、国語の先生をしていたので、諺や教訓などを知っていた私は度々説教された。
「為せば成る成さねばならぬ何事も為さぬは人の為さぬなりけり」とかの例文を引き合いに出して二時間は説教が続いた。
「母ちゃん、オシッコ」とか言って外に逃げた。こういう事は中学とか高校で習いなおすと、大人になっても忘れないものである・
疎開
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