光が導くその先で……

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  ※※ 「あ、文化祭かぁ」  スーパーからの帰り道、母校の前を通りかかった龍一は声を上げた。日曜なのになんか賑やかだと思ったら。 「ホントだ」 隣を歩いていた沙耶も呟いた。学年は違うし、時期も全く被らないが二人共同じ高校の出身だ。 「行きたいけど、これじゃあなぁ」  片手に持ったスーパーの袋に苦笑する。牛乳や卵、肉を持って文化祭に突入する気にはならない。 「一回家に荷物置いてから、また来る?」 「うーん、時間的に終わりそうだよね」 「そっか……、じゃあまた来年」 「そうだね」  名残惜しいが学校の前をあとにする。来年の約束を当たり前に出来ることは、嬉しい。 「そういえば、雅が三年の時に行ったんだよね、文化祭」 「義姉さんの?」 「そう。その時、沙耶、一年でしょ? どっかで会ってたり……あー、でも、ちゃんと出てた?」  あんまり学校が好きじゃなかった沙耶は、 「多分、さぼってた。行ったとしても」 「だよねー」  文化祭に張り切ってる沙耶なんて想像出来ない。 「まあ、俺も小学生の時のことなんて覚えてないけど」  唯一覚えているとしたら、 「なんか雅にめちゃめちゃ怒られたことかなぁ」 「何したの?」 「いやぁ、そこは覚えてないんだけど。すっげー怖かったのは覚えてる」  なんでだったっけなぁ?  考えていると、視界の端で何かがきらりと光った。確認すると光の元は、沙耶の左手の結婚指輪だった。そっと自分の左手に目をやる。同じ指輪に頬が緩む。付けるようになってから三ヶ月。まだ慣れていない。 「沙耶」  荷物を持ち直し、片手をあけると彼女の手を握る。沙耶はちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに握り返してきた。  文化祭の喧騒が遠ざかっていく。 「次の日曜はどっか行こう」  そんな話をしながら、二人の家に向かった。
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