光が導くその先で……

6/8
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「どこいったの!」  やばい、めちゃめちゃ怒ってる。  龍一の顔を見て、事態を理解したのか、その人はようやくクスリと一瞬、小さく笑った。 「君が龍一君ね? 探してるのはお姉さんかしら?」 「うん……」 「はやく行ったほうがいいよ。心配してる」 「怒ってるんだよぉ」 「怒ってるけど、心配してるよ」  ほら、と促されて、階段をちょっと降りる。 「ねぇ、でもおねえさん、また一人になっちゃうよ?」  こんな寂しいところで一人ぼっちだなんて。 「大丈夫だよ」 「でも……」 「龍一っ!」 「うっ」  確かに、はやくしないと雅が鬼になってしまう。 「それにね」  その人は傍に置いていた携帯電話を持ち上げて何かを見ながら、 「あたしのお迎えも来るから、大丈夫」  微笑んだ。 「一人じゃない?」 「ええ」 「そっか」  それにちょっと安心した。 「じゃあ、またね、お姉さん」 「ばいばい」  手を振って、階段を駆け下りた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!