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「座ってなさいって言ったでしょ! なんであんたは勝手にふらふらするの!」
雅のところに戻ったら、案の定、めちゃめちゃ怒られた。悪いのは自分だけどさぁ。
一通りお説教が終わって、合流した母親と雅と三人で文化祭をめぐることになった。
「お化け屋敷、行く?」
「えー、いいよ、別に……」
「あー、怖いんだぁー」
「こわくない!」
そんな不毛なやり取りをしていると、またきらっと何かが光った。ついついそちらを見ると、
「あ」
さっきの女の人が、制服姿の男の人と歩いていた。
「沙耶ー、どこ行くー?」
そう尋ねる男の人の首から、さっき女の人が持っていたのと同じペンダントがかかっている。
「賢は?」
「俺、ワッフル食べたい」
「ワッフル? どこ?」
男の人に話しかけるその人は、さっきとは違って優しい笑顔を浮かべていた。
ああ、ちゃんと笑ってる。よかった。
なんとなく安心する。
「じゃあ、お化け屋敷行こうか」
「うん!」
そっちに気を取られていて、雅の言葉に適当に返事をしてしまう。
「あ……」
結局連れてかれたお化け屋敷がめちゃめちゃ怖くて、ギャン泣きした。
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