うぜえ文化祭

4/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
女はスタスタと歩いていく。俺は並んで歩く。歩く速さが速い。この歩く速さもこいつが世の中を拒絶してる証拠だ。どこかの教室から下手くそなバンドの『前前前世』カバーが聴こえてくる。この下手くそが! 「教室から聴こえてくるバンドの音を聴きながらこの下手くそが!とか思ってそうな顔をしているな。君は」 そう言って女は半笑いを浮かべてくる。くそが! 「山田花子」 俺がこう答えると間髪入れずに返答してくる。 「ブッブー。外れだ。それは私が君にすすめた漫画家の名前だろう。面白くない」 「うるせーわ!面白くなくて結構だわ!飛来玲だろうが!そんなどうでもいいてめえの名前をいちいち発音させんなよ!その苗字同様、どっか飛んでけよ!」 「やっと正解したな、向井修造よ」 「ああそうだよ!俺の名前は向井修造だ!修造チャレンジとか言われ続けるこの苦悩が分かるかクソが!俺は静かな人間なんだ。熱く生きたくねーんだ、クソが!」 このクソしょうもねえ小説の序盤にありそうな名前の説明!むかっ腹がたってくる、自分の名前を言うだけでよ!
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!