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このところ、どうも調子が悪い。
仕事はうまくいかないし、隣人とも騒音の問題で揉めるし、スマホは水没するし、サイフは落とすし、さっきなんか犬のフンを踏むし、頼んだシェイクにストローがついていないし……。
どうしてこう嫌な目にばかり遭うんだろう。なにをしても裏目に出る。神様に嫌われるようなことでもしたんだろうか。
ああ、嫌だ嫌だ。うんざりだ。もうなにもしたくない。テレビもつけたくない。どうせまた音がうるさいって壁を叩かれるんだから。
まだ七時で夜になったばかりだけど、腹も膨れたし、このところ残業続きで寝不足だからもう寝てしまおう。
そう思い、布団を敷こうと身体を起こしたところだった。
『ピーンポーン♪』
と、無情にもインターホンが鳴った。
出ばなをくじくとはこのことだよ、まったく。
「チィッ……はいはーい」
嫌がらせでもされているんじゃないかと、そう思いたくなるようなタイミングだったので、つい舌打ちをしてしまう。
「またかなぁ」
隣人かもしれないと思うと途端に気分が滅入る。いっそ居留守を使いたかったけど、もう返事をしてしまったので出るしかない。
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