クーデター

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クーデター

数年前、世の夫たちの無神経さに業を煮やした妻たちが クーデターを起こした。 寝ている夫の局部に貞操帯をつけたのだ。 それは遠隔操作で電流を流せるし、爆破する事もできる。 抵抗したり反抗的な気配を出しただけで、 のたうち回るほどの電流を流される。 逃げようとすると貞操帯に仕込まれた薬が体に注入されて 一時的に体が硬直して動けなくなる。 計画は隠密に進められた。 snsでの主婦の何気ない一言が発端だった。 その小さな発言は瞬く間に賛同者が増え、全世界に広がった。 当然、男たちの目にも触れ、弾圧された。 しかし一度火がついてしまったものはなかなか消えなかった。 各地で残り火が燃え広がるように 家の中で、町の角で、あらゆる場所で 女性達の間で密かに計画は立てられていった。 そしてある夜、世界中の約90パーセントの夫たちの局部に 一斉に爆弾と電極付き貞操帯がセットされたのである。 世の中は一変した。 妻たちは大半が何の罪悪感もなく それまで自分たちに課せられていた仕事を 夫に課した。 家事育児 親の介護 親戚付き合い  それまで普通に女性たちがこなしていた仕事を 何一つまともにできない男たちは 苦労して覚えていった。 それまで続けていた通常の仕事 プラスそれらの仕事で 休み無く駆けずり回り、 反抗すると容赦なく電流が流された。 恐るべき事に、男性が妊娠出産する技術も開発された。 もともとがそれ用に作られていない男性の体は、 出産後死亡する事も多かった。 それでも女たちはやめなかった。 たいていの女は、死んだ男に何の未練も無かった。 生命力が弱かっただけの事だ。 そんな種を残しておいても 人類の発展の為にならない。 女性が必要な時だけそれは外された。 モノが役にたたない場合は薬を使った。 子供が足りなくなると、男たちは妊娠させられた。 男たちはもはや完全に消耗品だった。 結婚制度も意味合いが変わった。 奴隷にする男をほかに逃がさない為の制度になった。 たいていの女たちにはやはり罪悪感は無かった。 自分たちがされていた事をしているだけなのに、 何が悪いのか?
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