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「だって、階段から突き落とされたんだよ?それってさ、誰かが俺を恨んでるってことになる。無意識に突き落とす人なんてそうそういないだろうし」
「…………………」
「もしその人が俺の通ってる学校の人だったら、俺は学校で人から嫌わるようなことをしているってことにつながる。だから行きたくない」
ここまで冷静に考える日向はさすがだと思う。
日向には悪いけど、まさしくそうだ。
彼の言っている通り、彼は人から嫌われるようなことをしていた。
嫌われるというか、恨まれるようなこと。
私もそれを見てみぬフリをしていた。
「待っている人がいるかもしれないよ」
「だといいけどな」
よいしょと、彼は使える右手を使いその場から立ち上がった。
そして彼は、私の前に立ち苦笑いをした。
「やっぱり戻るよ。何か罪悪感がわいてきたから」
へらへらと笑う日向は、私の知っている日向ではない。
けれど、日向慧という人間は、どこか人とは違うようで違わない。普通の人間なのかもしれないと思った。
前まで私は、別次元にいる人だと思っていたから、余計にそう思えた。
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