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「俺は、行きたくないな」
「どうして?」
病院を早く抜けたいというわりには、学校には行きたくないのか。
私には、彼の考えていることが全く分からない。
記憶があった時もそうだが、彼は感情を顔に出すことはあるが、本当に顔と感情が一致しているのか疑問に思うことがあった。
日向は、んーと考えているが、私からしたら行きたくないと言うのはただ単に勉強したくないからなのではないかと考えてしまった。
「友達出来なさそう」
「……え?」
日向は上を見上げてそう言った。
いやいや、それはないだろう。
私はきっと今呆気にとられた顔をしているに違いない。
だが、それは当たり前のことだ。
日向慧という男は先生からも信頼され、生徒からは王様扱いされている。
ある意味では孤独だが、友達の一人くらいは絶対にいるはずだ。
だから、私は日向の言ったことが理解できなかった。
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