紅色の千日紅

ヒマワリ

学校の放課後の、窓側の席から見える校庭で、部活動をしている生徒を見る事が好きだ。

四階から見る、広々とした校庭が箱庭だとしたら、生徒達はその中で演劇をしている役者のようで、皆それぞれ自分達のやるべき事をこなしている。

そんな彼等の小さな青春劇を見下ろす私は、ただじっと観察するだけの観客、といったところであろうか。

どこからともなく聞こえてくる、部活動の様々な音が入り混じって、誰もいなくなったこの教室の閑静を容赦なく破ってくる。

野球部の誰かが、掠れた声で何かを大きく叫んだ。ちらりと視線を動かせば、バッターがボールを打ち、必死に走っている姿が見える。

ラケットでボールを跳ね返している音がして、そちらに目を向ける。
ミニスカートの可愛らしいユニフォームを身に纏った、ポニーテールの女子生徒が沢山。
テニス部の役者は今日も可愛い、なんて、女子高生のくせして親父くさいことを考える。

吹奏楽部のフルートの音が、微かに耳に入り込み、すうっと溶けた。
トランペット、クラリネット、この音は素人の私には良く分からない。

帰宅部の私は放課後、様々な音を耳にしながら、小さな役者達を観察し密かに楽しんでいる。