プロローグ

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緑が綺麗で、そこかしこから聴こえてくる川の浅瀬や小鳥の囀ずり、虫の鳴き声─── この長閑な村には、清んだ空気が流れていて自然が溢れかえっている。 広い青空を遮るような建物は何一つとしてない、美しい村には似つかわしくないサイレンが鳴り響いていた。 「おいっ!こっちじゃ!こっち!」 酷い慌てようで救急隊員を手招きするのは、村でも良く知られている八十歳のおじいちゃん。 八十歳とは、思えないような素振りで誘導した場所には、赤いランドセルを背負った少女が頭から血を流して倒れていた。 少女の背丈から見ると、五、六年生くらいだろうか。 こんな何もない田舎道で、何があったというのか───・・ 少女は、意識がないまま救急車に乗せられると、サイレンの音は村から遠ざかっていった。
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