プロローグ

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プロローグ

白いスポットライトの下、その指は鍵盤の上で踊っていた。 忙しなく動くそれは、魔法のように次々と音を繰り広げる。 優雅で甘美で、軽やかで。 前から3番目の列の席で、ただただ魅入っていた。息をするのさえ忘れていたような気がする。 当時、俺は小学二年生。そのピアニストは小学六年生、天才少年と呼ばれていた。 後からパンフレットを見てみて知ったのだが、その演奏会で引いていた曲はワルツであったらしい。 踊るような指使いが、未だに目に焼き付いて忘れられないでいる。
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