求めるのは

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体力をだいぶ使ったし、もう学校にいる義理はねぇな。 さっきの行為も体力が余ってたから、そして発情期の気だるさが少しは楽になるかと思ってやった。 あーあ、薬だけで楽に発情期を抑えられるようになるのはいつになるんだか。 もー面倒だ、さっさと帰ってしまおう。 まだ荷物も教室に置きっぱなしだし、取りに行かないと。 「須賀、丁度いいところに」 「あ、おやみーお疲れ」 「その呼び方やめて欲しいな...」 「いーじゃん、担任だし」 「もー...」 こいつは小山京介、通称おやみー。 俺のクラスの担任で担当教科は古文。 性格を一言で言うと...お人好し。 ちなみにβ。 「何か用?」 「うん、ちょっとだけ手伝ってもらえるかな?」 「終わったら何くれるの?」 「僕の大学時代のの課題のコピーでどう?」 「交渉成立」 教室にプリントが3つの山を作っている。 ...俺は基本的に暇が嫌いだ。 家に帰ると暇だから寝るっきゃない。 そのせいで勉強=暇潰しになっている。 だから、暇が潰せるなら手伝いくらいする。 「順番に並べて6ページの資料にして欲しいんだ。」 「資料の内容は?」 「水泳部の年間予定表だよ。」 「ふーん。顧問だっけ?」 「そうだよ、今年も県大会まで行くんだ。」 「自信満々だな。」 3枚の紙を重ね机に置く単純作業の中、会話が続く。 ふと見るとおやみーの表情がキラキラしてる。 あーあ...長くなるな。 「今年のレギュラーは凄いからね!」 「へー注目選手は?」 「ブレの大須君だよ! 1年から注目されてたんだ!」 「へぇ、3年?」 ホッチキスの音だけが教室内を包み込む。 ブレってなんだっけな。 確か平泳ぎだっけ。 「君と同じく2年だよ!」 「ふーん、3年を蹴落とした程の実力者ってか?」 「ふふっ...あの子はそんな子じゃないよ。」 「...?」 手を止めるおやみーに視線を向ける。 ...いつもよりも優しい表情。 「健君は凄くいい子だし、速い。 だから部員皆が推薦したんだ。」 「へー...おやみーくらいお人好しなのか。」 「...ふふっそうかもね。」 おやみーが俺の頭を触り、そのまま左右に往復させる。 ...? 「君もとてもいい子だよ。」 「どーも」 「せんせー!」 突然の声と教室のドアが開く音。 そして惹き付けられる様な初めての香り。 俺とアイツの出会いだった。
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