第一章 出会い

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 村田美香は、新しいマンションに引っ越すために荷造りをしていた。棚から高校時代のアルバムが出てきた。作業をストップして見ていると、懐かしい写真が並んでいて、その中の一枚に目を止める。高校の文化祭の時に出会った超イケメンの高校生。美香がたこ焼きを焼いている姿をじっと見ている。 「すみません、そのたこ焼き焦げてますよ」  慌てる美香。急いで失敗作を取り除く。 「それ買います。捨てないで」 「でも、売り物になりませんから、こちらを持っていって下さい」 「じゃあ、そちらも入れて下さい。一緒に買います」 「失敗作はサービスです」  休憩時間に入り、美香は、あちこち見ていると、休憩所でさっきのたこ焼きを買っていた高校生が食べていた。 「先ほどはたこ焼きを買って頂き、ありがとうございました」 「いや、お礼なんていいですよ、食べたかったからですから」 「どこの高校ですか?」 「私立平和学院です」 「えー、すごい、進学校じゃん!頭いいね」 「いや、僕はビリですよ! 遊んでばかりいるから」 そこに美香の親友、さおりがやってきた。 「美香、今休み時間なの? 何?彼氏いないってこんなイケメン彼氏いるじゃん!写真撮ってあげるね」 いきなりデジカメで写真を撮られてしまった。  それ以来、彼と会うことはなかった。美香は、高校を卒業し、大学に進学してその四年後に一流企業のOL として働いていた。貯金をしてマンションを買って一人暮らししようと決心していた。  ある程度、片付けが終わり、隣人への挨拶しようとチャイムを鳴らした。なんと出てきたのは、あのたこ焼きを買ってくれたイケメン高校生。すっかり大人になってたくましく成長していた。 「あれ以来どうしているか、気になっていました。たこ焼きを見るとあなたを思い出します」 「覚えていてくれて嬉しいです」  そして二人の恋は始まった。
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