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ドワノフ・スワマン
183年11月21日
PM4:00
「聞きましたよヴァスル副長官、新しい検問官確保したんですってね。
今回はバカに早いじゃないですか。俺としちゃもう少し遅くてもよかったんですがね……」
愛用の長身銃を肩に下げ、国境警備隊部隊長のアレクセイはその口元を不敵に歪ませる。
「なに、そう長く放っておくと腹心の部下が力を付けて裏切りかねんからな。狂犬を飼いならすのも私の重要な仕事の一つだ」
笑みをスッと消すアレクセイに対比するようにヴァスルの顔は緩む。
「ハハ、冗談に決まっているだろう。今回の検問官は私が任命できたのでね、有能な部下を一人送り込んだわけだ。
これから西では上層のバカ共の好きにはさせんぞ」
「へえ、副長官の部下ですか? それはまた何とも……」
「ああ、一つ忠告しておこうかアレクセイ君」
キョトンとした顔のアレクセイにヴァスルの言葉は続く。
「新しい検問官、名前をドワノフと言うが。こいつが居るうちは小遣い稼ぎは控えるんだな」
「どういう意味でしょうか?」
「真っ当に警備の仕事をしてろってことだ。奴は少々堅いやつでな。この上なく仕事は出来るんだが手なづけるのに苦労している」
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