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また
手
繋いで歩きたいな
一之瀬さんあるあるの
気まぐれかな
ツライこと話した後だったから
人恋しかったのかな
手つないだら
怒られるかな
「何だよさっきから」
「手…や、何でもないです」
次の日最初の下車観光
大きなお金の形どられた砂
銭形砂絵を見るために展望台まで坂道階段ひた登り
そんなことを考えた
だってわざとらしい偽装カップルは
今日も私を２人きりにさせるために
仲良く手を繋いで登っていた
いや、若干引っ張らせてるような
おおきなかぶ状態にも見える
「スニーカー買ってよかった～」
「ホントだね！明日も登らなきゃだし」
眼下に見えるデッカイお金と
青い海
カシャ
「またインスタ？」
「あぁ確かに、アップしよ」
「違ったのか」
「待受にしようかなって
銭形砂絵見たらお金に困らないって言うし」
「じゃ俺も待受にしよ」
お金持ちじゃん
「倒産しませんように」合掌
「あぁね」
「俺が社長になって倒産したらどうする？」
「職なくなったら困ります」
「お前…その頃もまだやってる予定か」
「あそっか」
基本的に結婚＝退職な七バス
あそこは独身寮
結婚してからも続けてる人はいなかった
カシャ
「ちょ…」
「変な顔」
「消して！勝手に撮らないで！」
「じゃあもう一回」
一之瀬さんはスマホを私に向ける
「あ、銭背景」
「ねぇ一之瀬さん」
「作られた仕事スマイルでどうぞ」
「一緒に撮りたい」
ダメって言うよね
嫌って言うよね
写真とか嫌いっぽいし
なのに
スマホをこっちに向けていた一之瀬さんは方向転換
私の横に並んで
手を伸ばしてスマホを向けた
「銭形写らねえじゃん」
いいの？
「あ、お前こっち来い」
肩を引かれ
一之瀬さんが背後に回る
光で見えにくいインカメラの画面
カシャ
「お前顔デカイな」
「遠近法！」
「ほらスマホ貸せよ」
同じようにして私のスマホでも撮った
ピッタリくっついた背中が後ろハグみたいで
不覚にも一之瀬さんにドキドキしてしまった
密かに待受画面
銭形砂絵はチラッと写ってるだけ
てか、初めての一緒に写真が銭形砂絵
銭形砂絵が急にいいものに思えた
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