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「……わかってる。クルフェル腕を組むな。ちっぱいがあたってるぞ」
「ちっぱい?」
「小さい胸のことだ。小さいぱいぱいだ」
「……魔狼、女性には言って良いことと悪い事が有るって存じてますわよね、おほほほ」
「いででで」
「ループス、真面目にやって下さいよー」
頬をぐにっとツネられる。
口が滑った。クルフェルって言いにくいから最近内心ちっぱいって呼んでたからな。
俺は習った単語を綴る。今日はひたすらパンと肉と飲み物ってガリガリと書く。
一言なのに何で十文字近くのスペルなんだ、腹立つわ。
「あ!」
「あー、まさか、魔狼!見て見て!」
「…なんだ」
頭を上げるとそれは待ちに待った者だった。
フワフワと仄かな小さな光が舞い、迷う事なく魔狼に近づいて頭の上に乗ったのだ。
「……プーか?お帰りだ。待ってたぞ」
目を閉じて心からそう思った。
クロウもクルフェルも穏やかに微笑んでいたと、思ったらワタワタと席を立ち口をパクパクし始めた。
「何だ、お前ら」
「ま、魔狼!す、透けてる!」
「ループス、何か魔術使いましたか?!」
「は?」
「えっ、いやっコレ既に触れないわよ!」
スカスカと俺の身体をクルフェルの腕がきっていた。
目の前に手を持ってきて見ると本当に透けていた。
「え、ループス?!」
「……どういう事だ」
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