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顔を上げると・・・あ、れ?
「勇者様が召喚されたぞ!」
「成功だ!成功したぞ!」
「これで魔王討伐の悲願が!」
ウォオオォ!!!
は?
厳つい重装騎兵、ヒゲの長過ぎる老人、頭に冠が乗った青年に、大きい胸を略しておっぱいの可愛い女性が俺を囲んでいた。
その周りには大勢の人。足元を見ると見覚えのある青白い光を放つ円陣。
「勇者様!どうかこの国をお救い下さい!」
おっぱいの女性が目の前に来て訴えた。
・・・勇者。
つんつんと髪を引かれた感じがした。
フワフワと目の前に浮かぶ仄かな光は頬を掠めてまた頭に乗ったようだ。
プーが一緒か。ふ、ははっ。
「せ、聖霊の加護がついてるとは!」
「ゆ、勇者様!」
「加護付きの勇者様だぞ!」
女性に並んで冠載せた青年も縋る目で続く。
「どうかこの国をお救い下さい」
勝手に呼び出して仕事を押し付けるって本当迷惑極まりない。しかも命かかってたりするんだろ。阿保だ阿保。
馬鹿らしくて思いクソ遠吠えしてやりたい。
わをーん、てな。
俺は魔狼。獣で魔獣だ。
グルガナの霧の森に住む黒鉄魔狼だ。
「断る。俺は住処に帰るぞ」
完
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