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私は、自分が好きでたまらない。
自己嫌悪とか、どうしてそんな言語が存在しているのが分からない。
何も意識しなくても、ただ、無条件に、自分が好きだ。
自分のことを好いてくれている自分も好きだ。
世界で好きなのは自分だけだ。いや、世界で一番好きなのは自分だ、というのが正しいか。
「キシスさん」
「何ですか」
「ぼーっとしてましたよ」
「あ、すみません、自分を愛していました」
「またですか?今は昼休みだからそれも良いですけど、仕事、溜まっちゃってますよ」
「大丈夫です。いずれ終わります」
「そう言って、またはぐらかすでしょ?だからどんどんしなければいけないことが増えるんですよ。今日も残業になっちゃって良いんですか?」
「いいとも。どんなことがあっても自分だけは僕を認めてくれるからね」
「ふふふ、面白い考え方ですね」
「そうかなぁ。僕は逆に、どうしてみんなは自分のことが好きだと公言しないのか不思議で仕方ないよ」
「そんなこと、普通は思いませんからね」
「あ、僕のことは普通じゃないって言いたいんですね?」
「その通りです」
「うーん、確かに特別だとは思いますけどねぇ。優秀すぎて困っちゃうんですよ」
「えっとですね、優秀な人は仕事を溜めたりしませんよ」
「分かってないなあ。そういうことじゃないんだよ」
「ではどういうことなんですか?あなた、特に顔が良いわけでもないですし」
「そうかな。イケメンだろ?凄く気に入ってるんだけどなぁ。このお顔」
「仕事、もうやった方が良いのでは?」
「何でだよ、昼休みが終わるまでは、後3分もあります」
「期限過ぎたら解雇ですよ」
「へへへ、雇ってくれたばっかなのにね」
「そうですよ。雇って一ヶ月たたない間に解雇になるんですよ?!それはマズいでしょう」
「いつものことですよ」
だから、独りなのだ。
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